先んずれば花粉を制す

花粉症は早めの対策が鍵!!
「憂鬱な季節がやってきた」と嘆いている人が多いのではないでしょうか。くしゃみや鼻水などで悩まされる花粉症は、今や誰がかかってもおかしくありません。早めの対策で乗り切りましょう。
アレルギーは季節を問わず注意が必要!!
花粉症は季節性のアレルギー性鼻炎。ほかに通年性のアレルギーもあります。
1年中飛散している花粉
花粉の飛散時期のみ症状が出る花粉症ですが、春はスギやヒノキ、春から夏はカモガヤ、夏から秋はブタクサなど、種類の異なる花粉が一年中飛散しています。
ハウスダストやダニによるアレルギー
通年性アレルギー性鼻炎の主な原因はハウスダストやダニ。特にダニは高温多湿の夏に増え秋になると死んで飛散するため秋に症状が悪化しがち。
花粉症チェックスタート

対策1 今すぐやりたい応急処置
花粉症の症状はとても不愉快なものです。上手に対応して少しでも和らげましょう。
1.鼻水
鼻は片方ずつ優しくゆっくりかみます。両方の鼻を一度にかむと、細菌やウイルスを含む鼻汁が耳管を通って中耳に入り、中耳炎になることが。
2.鼻血
鼻血が出た場合は小鼻をしっかりつまんで止血します。ティッシュを鼻に詰めると取り出すときに再出血しやすいので、詰めるなら脱脂綿を。
3.鼻づまり
鼻の粘膜がうっ血しているので、蒸しタオルで鼻を温めて血行を促進。鼻の付け根付近(睛明)や小鼻の両側(迎香)にあるツボを刺激する方法も。
4.目のかゆみ
目のかゆみや充血は、目の炎症が原因です。冷たいタオルや保冷剤をくるんだハンカチなどで和らげることができます。
花粉症と風邪や新型コロナウイルスとの見分け方
風邪やコロナでは目のかゆみは現れず、くしゃみが出るのも一定期間です。たらたらした(水様性)鼻水が出続けるときは花粉症の可能性が。
対策2 知っておきたい治療法
〇薬物療法 治療の中心。薬を飲んだり、鼻の中にスプレーを噴射したりして症状の改善を図ります。
1.飲み薬
主流は抗ヒスタミン薬です。かつては眠気や口の渇きなどの副作用が起こりやすかったのですが、最近の薬は改善され、副作用は減っています。
2.点鼻薬
処方の第一選択はステロイド点鼻薬。市販薬に多い血管収縮剤を含む点鼻薬は即効性があるものの、連続使用すると効果が低下するだけでなく副作用のリスクが。
3.点眼薬
コンタクトレンズ未装着で使用するのが原則。ただし、防腐剤が含まれていない点眼薬なら装着中でもOK。目薬型の洗眼薬で目を洗ってから点眼。
〇舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)
スギ花粉のエキスを一日一回毎日服用し、体をスギ花粉に慣らしていきます。花粉が飛散していない時期に治療を開始。一年後には多くの人が効果を感じています。治療を継続するほど、効果がアップ。
〇注射・レーザー治療
ゾレアはlgE抗体(※)と結合してアレルギー反応を阻止する注射薬で、重症の人のみが対象です。鼻の粘膜を焼くレーザー治療の効果は1~2年ですが、服薬できない妊婦さんなどは検討しても。
※アレルギーの原因となるダニや花粉などのアレルゲンを体外に排出するためにつくられる抗体。
対策3 生活の中でできる花粉対策
薬や専門家によるメディカルケアとともに重要なのが、本人や家族などが行うセルフケア。花粉を寄せ付けないことがポイント。
起床時:部屋を暖かく冷たい空気に触れない
外出時:①飛散情報をチェック
②飲み物や飴を持ち歩き、口やのどを潤す
③マスクやメガネ、帽子の活用と衣類の工夫
④電車やバス、建物の出入口は注意
在宅時:①腸内環境を整える食事で免疫力を獲得
②加湿器などで室内の乾燥を防ぐ
③掃除は拭き掃除で。空気清浄機の活用もおすすめ
④保湿で肌のバリア機能を回復させる
⑤自分に合ったリラクゼーション法でストレス解消
⑥適度な運動で自律神経を整える
帰宅時:①花粉を室内に持ち込まない
②洗面所に直行して手や顔を洗浄
就寝時:ぬるめの湯につかって質のよい睡眠を
花粉症の時期だけ肌が荒れる花粉皮膚炎
花粉の飛散時期になると肌が荒れるという人は、肌に付着した花粉が刺激となって免疫機能が働き、アレルギー反応が生じる花粉皮膚炎の可能性が。症状がひどいときは医療機関を受診しましょう。
注意:清潔すぎる環境がアレルギーを増やす!?
花粉症などのアレルギー疾患増加の理由の一つに、清潔すぎる環境が細菌などとの接触を減らし、免疫機能への刺激が不足したためとの衛生仮説が。
対策4 子どもの花粉症対策
親が花粉症の子供は親の体質を引き継いでアレルギー疾患を発症しやすいといわれます。
〇早期の対策がアレルギーマーチの進行を止める
子供が成長するとともに、異なるアレルギー疾患を次々に発症することがあります(アレルギーマーチ)。早期の花粉症対策は、将来のアレルギー疾患の発症リスクの低下につながります。
〇対策と治療は基本的に大人と同じ
子どもも大人と同様、メディカルケアとセルフケアで対応。花粉の飛散量が多い日の夜に眠れなかったり、翌朝目が開かなかったりするときは花粉症化も。医療機関を受診させて。
〇5歳以上なら舌下免疫療法がおすすめ
5歳以上で正しい服用ができる場合は、舌下免疫療法を受けられます。毎日服用する手間はかかりますが、症状の軽減やアレルギーマーチの進行抑制などのメリットがあります。
花粉症の人が懸命に対策を行っても、それだけでは十分とはいえません。花粉症の原因である花粉を避けるには周りの人の協力がかかせません。花粉症対策はみんなで!!