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精神疾患を抱える方へ 〜症状があまり気にならなくなってきたら〜

精神疾患の治療を進める中で、少しずつ症状が和らぎ、日常生活に戻る準備ができる段階に来ることがあります。この時期は「寛解」と呼ばれ、症状がほとんどなくなる状態ですが、まだ完全な回復ではありません。焦らずに、次のステップへと進むために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。

大切なこと:寛解を維持し、社会復帰の準備を始める

「寛解」とは、精神疾患の症状がほとんどない状態を指します。ここまで来たことは、非常に大きな前進です。しかし、再発を防ぎ、安定した状態を保つために、引き続き治療を継続しながら、少しずつ社会復帰に向けた準備をしていく必要があります。無理をせず、生活リズムの調整や薬の服用を続けることで、心と体のバランスを取り戻しましょう。

ポイント1:生活リズムの調整

寛解を迎えた後も、生活のリズムを整えることが回復の鍵となります。特に睡眠は、心の健康に直結する重要な要素です。昼間に体を動かすことで、夜に質の良い睡眠を取ることができ、脳に十分な休息を与えられます。夜間にぐっすり眠ることで、翌日の活動へのエネルギーを蓄えることができます。

生活リズムを整えるためのポイント

  • ・ 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる。
  • ・ 昼間は適度な運動をして、体を疲れさせる。
  • ・ 眠る前はリラックスできる時間を確保する(読書や音楽など)。
  • ・ カフェインやアルコールは、睡眠の妨げになることがあるため、避けるようにしましょう。

ポイント2:やりたいことの”半分”から始める

寛解の時期に差し掛かると、やりたいことが増えてくる一方で、気持ちが高ぶりすぎて無理をしてしまうことがあります。これは心の負担となり、再発の原因になることもあります。そのため、活動量を調整し、本当にやりたいことの**「半分」から**始めることをおすすめします。

“半分”への減らし方の例

  • ・ 1時間のウォーキング → 30分だけ散歩する
  • ・ 料理をすべて作る → 1品だけ作る
  • ・ 友達とショッピング → 1時間だけお茶をする
  • ・ 家の掃除を全部する → 1箇所だけ掃除する
  • ・ 図書館に行って本を読む → 図書館へ行くだけにする

このように、やりたいことの半分だけを目安に取り組むことで、心身に無理なく活動を再開することができます。

ポイント3:症状がなくてもくすりを継続

寛解の時期に入ると、くすりをやめたいと感じることもあるでしょう。しかし、症状が表れていない今も、くすりの効果が脳を安定させている状態です。くすりを勝手にやめてしまうと、症状が再びぶり返すリスクが高まります。医師の指示に従って、くすりは継続しましょう。

副作用への対処

寛解の段階に入り、活動量が増えると、今まで気にならなかったくすりの副作用が気になることがあります。特に、外で人と関わる時間が増えることで、体の違和感を感じることもあるでしょう。このような場合は、我慢せずに医師に相談することが大切です。副作用を軽減するための調整が可能な場合があります。

ポイント4:残遺症状を見逃さない

寛解の状態に入っても、「あと一歩やる気が出ない」「集中力が続かない」といった残遺症状が残っていることがあります。これらは、うつ病などの精神疾患が完全に回復していないことを示しています。

残遺症状が残ると、以下のようなリスクがあります

  • 「自分が悪いからやる気が出ない」と自己否定的な思考に陥る。
  • 残遺症状が放置されると、再発の引き金になることがある。

このため、残遺症状を軽視せず、引き続き医師と相談しながら治療を続けることが大切です。完全に症状がなくなるまで、焦らず治療を継続することが、再発を防ぐ重要なステップとなります。

まとめ

症状があまり気にならなくなってくる寛解の時期は、社会復帰への準備を始める大切な段階です。この時期においても、生活リズムを整え、くすりの服用を続け、活動量を慎重に調整することが重要です。また、残っている小さな症状を見逃さず、適切なケアを継続しましょう。

焦らずに、少しずつ日常生活を取り戻していくことが、長期的な回復に繋がります。寛解はゴールではなく、新しいスタートです。このステップを踏みしっかりと準備することで、再び心の健康を取り戻し、社会に戻るための力を蓄えることができます。