精神疾患を抱える方へ 〜症状の波が出ているとき〜
精神疾患の治療が進む中で、多くの人が感じるのは「症状の波」です。よくなったり、悪くなったりを繰り返すことは珍しいことではなく、この波にどのように向き合うかが、治療の進展において非常に重要なポイントです。このガイドでは、症状の波に振り回されないための心構えや具体的な対策を紹介します。
大切なこと:症状の波に振り回されず、安定を目指す
治療が進むと、少しずつ症状が改善されることを実感できるでしょう。しかし、まだ不安定な時期には、症状がよくなったり、悪くなったりすることがよくあります。これは「三寒四温」のように、寒さが和らぐ一方で、時々寒さが戻ってくるようなものです。回復の過程には、少しずつ波が落ち着いていくため、重要なのは、その波に振り回されず、焦らずに安定した状態を目指すことです。
ポイント:振り回されない、焦らない、自己判断しない
1. 振り回されない
症状が改善されると、一時的に気分が良くなることがあります。この時に「もう大丈夫」と思ってしまいがちですが、まだ完全に回復したわけではありません。回復の途中には、再び症状が悪化することもあるため、気分の良し悪しに一喜一憂せず、穏やかな気持ちで向き合うことが大切です。無理に何かを進めたり、急に行動範囲を広げたりしないようにしましょう。
2. 焦らない
少し良くなってくると、普段の生活に戻りたい気持ちや、やりたいことがたくさん出てくるかもしれません。しかし、この時期に焦って無理をすると、再び症状が悪化する可能性があります。焦らず、少しずつできることを増やしていくことが大切です。
やることとやらないことの目安
- Want(やりたいこと):自分が「やりたい」と心から思うことなら無理のない範囲でやってよい。
- Had better(やった方がいいこと):「やった方がいいかな」と思う程度のことは、もっと安定してからにしましょう。
- Must(やらなければならないこと):「どうしてもしなければならない」と感じることは、この時期には避け、回復が進んでから取り組むようにします。
このように、無理をせず、自分の体と心の状態を尊重しながら行動を選択することが大切です。
3. 自己判断しない
症状が良くなり始めると、くすりをやめたくなったり、量を自己判断で減らしてしまうことがあります。しかし、これは非常に危険です。今の状態は、くすりが脳の働きを助けている結果であり、急にやめると症状が再発したり、悪化したりする可能性があります。医師の指示通りにくすりを服用し、自己判断は避けましょう。
くすりの役割と服用のポイント
くすりの服用について
治療が進む中で、医師がくすりの量を調整することがあります。症状が安定しないうちは、くすりの量が増えることもあるかもしれません。しかし、くすりの量が増えたからといって、病状が悪化しているわけではありません。これは、より良い状態を目指すための一時的な対応ですので、心配しすぎずに医師の指示に従ってください。
副作用について
くすりの量が増えると、時には副作用が出ることがあります。例えば、眠気や頭痛、胃の不快感などです。もし副作用が気になる場合は、遠慮せずに医師に相談しましょう。くすりを変えたり、量を調整することで、副作用を軽減する方法もあります。
症状の記録をつける
精神疾患の治療において、症状の波は気になるものです。特に、悪い日が続くと、全体的に回復していないように感じることがあります。そこで、症状を記録することをおすすめします。毎日の気分や体調、できたことやできなかったことを記録することで、少しずつ良くなっていることに気づけるかもしれません。
たとえば、「今週は2回も良い日があった」というように、小さな進展を実感できるようになります。これは、治療の励みにもなり、焦らずに進んでいることを確認する助けになります。
まとめ
症状の波が出ている時期は、回復の途中であることを理解し、無理をしないことが大切です。振り回されず、焦らず、そして自己判断を避け、医師や専門家と連携しながら治療を進めましょう。心身のバランスを取り戻し、完全な回復に向けて少しずつ進んでいくためには、自分自身を大切にし、ゆっくりとした歩みで治療に取り組むことが大切です。