精神疾患を抱える方へ 〜回復の維持〜
職場や家庭に復帰する段階では、症状がかなり落ち着いている状態かもしれません。しかし、精神疾患は長期的な治療を必要とすることが多く、再発のリスクを防ぐために引き続きケアが必要です。この記事では、復帰後に注意すべきポイントや、再発防止のための対策について紹介します。
大切なこと:治療を続け、再発を防ぐ
職場や家庭に戻ったからといって、治療が完全に終わったわけではありません。むしろ、この時期こそ再発のリスクを避けるために、治療を続けることが重要です。日常生活に復帰した後も、心と体の状態を安定させるために、引き続き医師のサポートを受けながら治療を進めていくことが大切です。
ポイント1:通院の維持
うつ病などの精神疾患の治療は、症状が和らいだとしてもすぐに終了できるものではありません。職場や家庭に復帰した後も、定期的な通院を続け、医師と相談しながら治療を継続することが再発防止の大きなカギです。くすりの調整や心理的なサポートを受けることで、ストレスや新たな環境に適応しやすくなります。
ポイント2:季節、環境、生活の変化に適切に対処する
精神疾患は、季節や環境の変化、生活の大きな変動などの外部要因にも影響を受けることがあります。特にうつ病では、季節の変わり目や気圧の変化に敏感になることがあります。そこで、1年を通してこうした変化にうまく対処できているかを見極めることが重要です。
例:環境の変化に対処するためのポイント
- ・ 季節ごとの体調や気分の変動を記録する。
- ・ 生活リズムが大きく崩れないように工夫する(規則正しい生活や適度な運動を心がける)。
- ・ 大きな環境の変化がある場合、事前にストレス軽減策を考えておく。
ポイント3:考え方の”クセ”に気づく
復帰後、仕事や家庭生活が元に戻るにつれて、再び以前のストレスやプレッシャーに直面することがあります。このような状況で、うつ病に陥りやすい**考え方の”クセ”**が再び顔を出すことがあります。無理をしすぎたり、自分に過度なプレッシャーをかけるような思考に注意が必要です。
考え方の”クセ”とその対処法
- ・ 今までの考え方:「前はできていたんだから、もっと頑張らなければならない」
- ・ 新しい考え方:「無理せず、誰かに助けをお願いしても大丈夫」
このように、自分に厳しくしすぎる傾向が出たときには、その”クセ”に気づき、他のやり方や考え方を取り入れることが大切です。特に、サポートをお願いしたり、責任を分担することで心の負担を軽くする方法を考えることが重要です。
ポイント4:治療の終了時には徐々にくすりを減らす
症状が安定し、医師が治療の終了を目指せると判断した場合は、くすりの服用を徐々に減らしていくプロセスが始まります。これは一般的に、1年間(初めての治療では半年間)安定した状態が続いた場合に考えられます。くすりの量を一気にやめるのではなく、少しずつ減らしていくことで、身体が自然に適応する時間を確保します。
くすりを減らす際の注意点
医師の指示のもと、くすりを減らしていく際には、副作用や身体の反応に注意が必要です。まれに、以下のような不快な症状が現れることがあります。
- ・ めまい
- ・ 手足のしびれ
- ・ 頭痛
このような症状が現れた場合は、すぐに医師に相談し、適切な対策を講じるようにしましょう。くすりの減らし方に問題がある場合もありますので、決して自己判断で対応しないことが大切です。
ポイント5:再発の最初のサインに注意
再発を防ぐためには、最初のサインを見逃さないことが重要です。再発の兆候は、ささいな変化から始まることが多いため、自分の体や心の変化に敏感になる必要があります。以下のようなサインが見られた場合、早めに対処することが再発を防ぐ鍵となります。
再発のサイン例
- 一人で抱え込んでいる。
- くすりを服用し忘れることが増えている。
- 睡眠の質が低下している(夜中に目が覚める、眠れない、寝すぎてしまうなど)。
もし、これらのサインに気づいた場合は、すぐに医師に相談し、必要な対策を講じることが大切です。
まとめ
職場や家庭に復帰した後も、精神疾患の再発を防ぐためには、治療を継続し、自分自身の状態に注意を払うことが必要です。通院を続け、季節や環境の変化に適応しながら、無理なく日常生活を過ごすことが再発防止につながります。また、考え方の”クセ”に気づき、柔軟に対応することで、ストレスを軽減することが可能です。治療を終了する際も、医師の指導に従い、ゆっくりとくすりの量を減らすことが大切です。
最も重要なことは、心と体のバランスを保ちながら、自分に無理をせず、適切なサポートを受け続けることです。