更年期(メノポーズ)とは、一般的に40歳から60歳の間に訪れる生理的な変化の期間を指します。この時期には女性ホルモンの分泌が減少し始め、次第に月経が不規則となっていきます。
この女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少によって引き起こされる症状を「更年期障害」といいます。
それでは、更年期障害とはどのような症状なのか、下記で詳しく見ていきましょう。
更年期の症状
更年期にはさまざまな身体的、精神的な症状が現れることがあります。これらの症状は「更年期障害」と呼ばれ、具体的には以下のようなものがあります。
身体的症状として、ホットフラッシュ・夜間の発汗・頭痛・関節痛・肌の乾燥など、精神的症状として、気分の変動・不安・イライラ・抑うつ感・集中力の低下・記憶力の低下などがあります。
特にやせ型や低体温の方では、更年期障害が重くなる傾向があります。
なぜならエストロゲンは一部が体脂肪で作られるため、体脂肪が少ないとエストロゲンの生成が低下しやすいからです。
また、低体温は代謝機能の低下を意味し、身体の各機能の正常な働きを妨げてしまいます。これによりホルモンバランスの乱れや免疫力の低下につながることがあります。
次に代表的な更年期障害の症状を詳しく見ていきます。
ホットフラッシュのしくみ
ホットフラッシュは、顔や首筋、胸部に突然のほてりを感じる症状です。これは通常、数分間続き、しばしば発汗を伴います。一部の女性では、ホットフラッシュが夜間に起こり、睡眠の質を低下させることがあります。
ホットフラッシュの主な原因は、更年期における女性ホルモン(特にエストロゲン)の急激な減少です。エストロゲンの減少は、体温調節を担当する脳の部分(視床下部)に影響を与え、体温調節が敏感になるため、わずかな温度変化にも過剰に反応してしまいます。
物忘れ、うつ状態、イライラも更年期障害の一部
更年期にはホルモンバランスの変化により、記憶力の低下やうつ状態、イライラなどの精神的な症状も現れます。これらは更年期特有の症状であり、多くの女性が経験します。
- 記憶力と集中力:エストロゲンは記憶を形成し維持するのに重要な役割を果たします。そのため、エストロゲンの減少は記憶力の低下や集中力の散漫につながる可能性があります。
- 気分調節:エストロゲンはセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の調節に関与しています。これらの物質は気分を安定させるのに重要な役割を果たすため、エストロゲンの減少は気分の変動やうつ状態を引き起こす可能性があります。
更年期は、多くの女性にとって大きな身体的・心理的変化の時期です。ホルモンの変動による身体的な不快感(ホットフラッシュ、不眠、疲労感など)は、ストレスを増加させ、結果としてうつ症状や認知機能の低下を引き起こす可能性があります。
更年期と骨粗しょう症
骨粗しょう症は、骨密度と骨の質が低下し、骨がもろくなり、破折しやすくなる状態を指します。骨密度の減少は徐々に進行し、初期段階では自覚症状がほとんどありません。
更年期において、骨粗しょう症のリスクは特に高まります。これにも、エストロゲンの減少が関わっています。
- エストロゲンの役割:エストロゲンは骨の再吸収を抑制し、骨密度を維持するのに重要な役割を果たしています。
- エストロゲンの減少:更年期にはエストロゲンの分泌が減少し、骨の再吸収が活発になります。これにより、骨密度が低下し、骨がもろくなります。
更年期後の女性は、骨密度の急速な減少により、骨折のリスクが高まります。特に腰椎や大腿骨の骨折は、高齢者の健康と生活の質に深刻な影響を与える可能性があります。
まとめ
今回は更年期に起こる様々な症状を見てきました。
次回ブログでは、更年期と女性ホルモンの関係について詳しく見ていき、対策方法をお話していきます。