カレンダー営業日カレンダー

商品紹介 Products

慢性腎臓病治療の最新情報

腎臓の働きが健康な人の60%未満に低下するか、タンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態を慢性腎臓病といい、日本人の成人の約7~8人に1人にみられると推測されています。治療法が大きく進歩しているいま、最新の情報を知っておきましょう!!

腎臓の状態を知って早期発見、早期治療

慢性腎臓病は初期の段階では自覚症状がほとんどありません。そのため、異常に気づかず放置しがちです。しかし慢性腎臓病になると心筋梗塞や不全、脳卒中といった重大な病気を引き起こしやすくなります。また、腎機能の低下が進行し腎不全という状態になり、さらに悪化して末期腎不全になると、透析療法や腎移植が必要になります。

こうした状態を避けるには、自分の腎臓がどのような状態にあるか、日ごろから知っておくことが大拙です。健康診断などの結果を受け取ったら、尿検査項目にある「尿たんぱく」の有無や血液検査項目にある「血清クレアチニン」⁕²「eGFR」⁕³などの数値を確認しましょう!!異常と指摘された場合には、必ず医療機関を受診してください。

⁕²血清クレアチニンは、腎機能を評価するための重要な指標です。クレアチニンは腎臓でろ過されて尿として排出されるため、血中のクレアチニンの濃度が 上昇していることは腎臓の機能が低下していることを意味します。
一方、クレアチニンが腎臓のはたらき以外で高くなる場合もあります。 クレアチニンの数値は筋肉量に比例します。運動・筋力トレーニングや高たんぱく食の摂取によって筋肉量が過剰に多い場合には、クレアチニンの数値も高くなります。 反対に、過剰に痩せていて筋肉量が少なくなっている場合には、クレアチニンの数値が低くなります。
一般的に、男性は女性よりも筋肉量が多いので、男性は女性よりもクレアチニンの数値が高くなることがあります。
また、高齢者よりも若い方では筋肉量が多いので、クレアチニンの 数値は高くなる傾向があります。腎臓のはたらきが著しく悪くなると、筋肉量や栄養状態に影響を受けやすくなるため、症状や尿の状態などから、総合的な評価が必要となります。

⁕³eGFRは腎臓の機能を測定するための一般的な指標です。腎臓は体内の毒素を排出することができると同時に、血液中の必要な物質を保持することもできます。

eGFRは、血液検査の結果から計算することができます。

eGFRの正式名称は、意図球体濾過量という難しい名前なのですが、腎臓の糸球体が一分間にどれだけ血液を濾過したか、ということを示す値になります。ですので、GFRは、腎臓が一分間にどれだけの血液を処理して毒素を排出することができるかを示します。具体的には、血中のクレアチニン濃度と、患者の身体状態(年齢、性別、体重など)を考慮して計算されます。

たんぱく質摂取量の制限が緩和されることも

基本的な治療は、たんぱく質の摂取量を制限することです。たんぱく質を摂りすぎると、腎臓で濾過する老廃物が多くなって腎臓への負担が増え、病気の進行につながるからです。ただし、高齢者がたんぱく質の摂取を制限すると、筋肉量が減ってサルコペニア⁕¹を起こしやすくなります。また、慢性腎臓病とサルコペニアを合併していると心筋梗塞や脳卒中などのリスクがより高くなることが明らかになってきました。そこで高齢者など筋肉量が少ない人の場合、たんぱく質の摂取量制限を緩和することがあります。

かつては、慢性腎臓病の人は安静が第一と言われていました。理由の一つは運動後に尿たんぱくが増えやすいからです。しかし現在では、尿たんぱくの増加は一時的なものであり、ウォーキングばどの適度な運動は腎機能の低下を抑え、脳卒中などの合併症の予防になることがわかり、むしろ推奨されています。

薬物療法に関しても、2021年に新薬が登場しました。これまでの薬は腎臓病の悪化の要因となる高血圧などに対するものが中心でしたが、新薬は腎臓機能の低下そのものを抑える薬なので、治療の選択肢が増えています。

⁕¹サルコペニアは筋肉量の減少に伴って筋力や身体機能が低下している状態。転倒や寝たきりの原因となる。

食事や運動の管理を体験できる教育入院

食事や運動を管理するのは患者さん自身です。しかし、その継続は容易ではないことから、1週間程度の教育入院を行う医療機関が増えています。入院期間中は、医師や看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士などによる指導が行われます。教育入院には、慢性腎臓病の進行が長期抑制、透析導入までの期間延長などの効果があることが報告されています。

慢性腎臓病の治療法は大きく変わりつつあります。わからないことがある場合は薬局の薬剤師に気軽にご相談ください!!